冒険は人を大きくする。30年前豪州半周旅 ~愛車編~

30年前の夏、女子2人 車でオーストラリアを半周した。

愛車はオンボロのステーションワゴン Holden Kingswood。

既にオーストラリアを一周旅してきた旅人から入手したもので、すでに何十万キロも走ってきている年季の入った代物。
前の保有者も旅人から購入し、たぶん代々旅人に受け継がれてきた物のよう。

この車は本当にシドニーとは相性が悪い。
購入してから出発までどれだけ故障し、修理をしたことか!

ガレージのおじさんとはもう顔馴染になってしまい、最初は事務的で、ぶっきらぼうで、
「フン、日本人の若いねーちゃんが!」って言う感じで愛想が悪く、ちょっと意地悪で、面倒くさがっていたおじさんも、
あまりにも私が「おじさーん、またおかしくなっちゃった!」と、しょっちゅう行くので、
そのうちに「ちょっとでもおかしいところがあれば何でも持って来い」と言って、しまいには無料で修理し、
「また来たか!」と 次第に打ち解けてくれるようになった。

「こんな車で女子2人で半周しに行くなんて!」と言いながらも心配し、
旅の途中に自分たちでメンテナンスする時のオイルやタイヤのチェック方法や 注意点も教えてくれた。

 

一見、不運な悪い事のように見えても、そのお蔭で人との繋がりが深まる。
その人の中の愛情を感じることができる。

おじさんが手を掛けてくれたことも 「無事に旅をして、帰ってただいまと言おう」というモチベーションにもなった。

 

この車はとにかく大きくて、ベンチシートで古い割に乗り心地はいい。
1列目も2列目も横になって寝転がることもできる。
後ろの荷台はキャンプ用品から緊急時用のガソリンや水、食材、夏物、冬物の衣類も含め、いっぱい荷物が積めるし、
ベンチやテーブル代わりにもなる優れ者。

本当はバイクで旅をする予定だったけど、車にして正解だった。

唯一の難点はパワステじゃないので、駐車するのが大変。
街などで駐車する際はだいたい友達が車を停める役になるから、
いつも「も~この車重い~!!ヒ~!!」と怒りまくっていた。

「じゃ、英語しゃべって場所聞く?」というと
友人は 「いや、車、駐車する」 とおとなしくヒーヒー言いながら駐車してた。

 

あんなに故障しまくっていたのに、旅に出た瞬間から一切故障も、パンクも、バーストもせず、窓ガラスも割れず、この車は大活躍してくれた。

4WDじゃないのに、「4WDでしか行けませんよ」という所まで行ってしまい、雨が降って水溜りが川になってしまった所を一気に通り抜けたり、道路が洗濯板のようにガタガタとコルゲーションになっている所はドアや窓を押さえながら「壊れる~」と叫びながら走ったり、バックパッカーの人を乗せたり、バイクが故障した人の荷物を積んであげて、一緒にキャンプ場で食事を作ったり・・・

無理難題にも応えてくれた。

決してカッコイイ車じゃないけど、それでも15,000kmの旅を共にした可愛い奴。
たくさんの豊富な経験が浸み込んだ、実用的で素敵な車でした。

 

そして・・・旅を終えてシドニーに還ってきた途端、故障しました!
ハイウェイのような大きい道路でエンジンストップしてしまったりして。

帰ってきて
「おじさーん、ただいま~。何にも問題なく旅してきたよ!」

で、また 故障しちゃったんだけどさ・・・・ へへへ

 

うう~ん、道具も人間に似るのかしら?
実験、冒険、体験大好き。 街が好きじゃない?

30年経った今 そんなことに気づくのでした。

つづく・・・